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陳腐化しない優れたデザイン
デザインだって性能だ!!・・・と、このクルマたちを見ているとそう思ってしまう。
自動車というものはいろいろなメーカーから次々にニューモデルが発表されてその形もじわじわ時間をかけながらどんどんあたらしくなっていく。
そう、日進月歩で。
なのでついこの前までとても新鮮で魅力的に感じていたクルマがある日突然急激に古臭く見えることがある。「あれ?こんなに古臭デザインだったかな?」と。もちろんこれはクルマだけに限ったことでなくて家電だって家だって同じ。
そう、デザインというものはトレンドとなって消費されていくもの。いくらいいものをデザインしたってそれは広がり何れ安売りされていく。近年の剥き卵のようなつるんとしたフォルムだったり、つり目のヘッドライトだったりもいつの間にか商用車にまで普及している・・・。
クリスバングルが提唱したエモーショナルなデザインもいつしか浸透しているし。そういえばここのところ2000年代初頭のようなニューモデルの新鮮味って薄れてきたように感じる。
・・・でもそんな中そういう法則が通用しないクルマだって存在する。
個人的な主観がたっぷり入っていると思うけど(笑)この二台。
そう、ランチアテーシスとアルファ166。
166なんか登場からかなりの時間がたつというのにそのデザインが古びてしまう兆候は微塵も無い。むしろいい歳のとり方をしてより一層魅力を増しているようにすら感じる。ところでこの二台は一応兄弟でもある。
ちなみにこの二台、兄弟ではあるけれどそのデザインに対するアプローチはぜんぜん違う。ランチアテージスもアルファ166もFF、すなわち前輪駆動。なので普通ボンネットは分厚くなる。なのでこのクラスのクルマの場合フロントが分厚くなって前輪も後ろ気味に配置されるので(ホイールベースが短くなる)全体的にもっさりしてしまう事が多い。
その失敗例は幾つかあってたとえば日本で言えば二代目ディアマンテ。
そのもっさりとしたボンネットの分厚さゆえに初代ではBMWまがいの逆カントグリルとディテール処理でごまかしていたがデザイントレンドと安全基準にしたがってシンプルにして逆カントを廃止してみたらこれまた実用車感がたっぷり出てしまってEセグメントにもかかわらず実質ぱっと見はカムリ程度のクルマにしか見えなかった
失敗例とは言わなくてもジャガーXタイプが素直にXJの縮小版に見えないのもその理由。幸い本来のXJはもともとホイールベースが短かったのが救いだけどそれでもやっぱり低くい長いXJの雰囲気は分厚いボンネットのXタイプでは再現しきれないところがあった。
しかしこの二台は天才的ともいえるデザイン処理でデザイン上のFFのデメリットを完全に忘れさせてくれる美しいデザインのボディーを纏っている。
まずテージス、このクルマはレトロモダンというものを一つ通り越してクラシックモダン。少し前にデザイントレンドだったレトロモダンというのは大体が50~60年代のデザインをモチーフに今風に仕立て直したというもの。代表的なもので言えばニューミニなんかもそう。
しかしテージスはどちらかというと戦前(1930年代)のデザインがモチーフにされている。なのでボンネットとフェンダーを分けたスタイル。これはピニンファリーナが今のデザイントレンドの基盤となるデザインを推し進める以前のクラシックスタイル。なのでボンネット自体はきちり高さをとってフェンダーとコントラストをつける。
そしてこのクルマはイタリアでは公用車として使われることも多いから然るべき室内空間は必要なのでグリーンハウスの造形もきっちりととってあって冒険しているデザインにも関わらずとてもフォーマルなのに驚く。後ろを眺めるとクラシカルなモチーフを不思議にあの奇抜なデザインのテールランプが強調する。正直自分の知る限りのサルーンデザインの中ではかなり高度なものだと思う。
そこに安っぽさなんてものは一切無くてしかもクルマ自体の誂え方にもある意味「高級」というものの本来の姿(「カネ」でなく「手間暇」をかけるということ)を垣間見ることができる。
さすがは「よき見識」のランチアである。
生産終了になってしまったことが本当に悲しい。実はATだってアイシン製で頼もしいやつだったのに。
オマケに毎日乗れます!
お次はアルファ166。このクルマも個人的にはFFサルーンの新しいデザインの方向性を教えてくれたクルマだと思う。もはやこのクルマにFFだからというデザイン上のデメリットは存在しない。
むしろFFということを味方につけて芸術的なものを作り出したといっても過言ではないと思う。ちなみにデザインチーフディレクターはアウディーでも活躍したウォルターデシルヴァ。
そういえば何か近いものがあるような気もしないことも無い。
このクルマの鼻先の下がり具合、フロントフェンダーの低さは半端無い! 真横から見るとつんのめってるくらいフロントは下がっている。
そこでディテール処理がアルファが164などでも見せた得意技でカヴァーするのだけど今回は164時代よりもさらに腕を上げてシンプルだけどシャープで彫が深い緊張感のある特有の顔つきに、そしてボディサイドには派手な「えぐり」によるキャラクターラインでそのフロントマスクに見合った緊張感のある身体つきを実現している。
その個性的で緊張感のある顔つきは途切れることなくリアエンドまで自然に繋がっている。これはある意味サルーンデザインの新しいあり方を示しているんじゃないかとすら思った。いや、むしろ今でもそう思う。
やっぱりアルファはかっこいいなんて言う台詞がいまさらながら出て来てしまいう。
ところでかっこいいクルマなんてスポーツカーやオープンカーを探してみればいくらでもあるかもしれない。でもそれらのクルマは比較的デザイン上や実用性の制約が無くて作られる場合が多い。 そういう意味では制約が多い中でこういったも素晴らしいものを作り上げたことはとても素晴らしいことだと思う。
そしてそういうクルマたちと違って然るべき実用性も備えた4ドアサルーンなので毎日乗る事も可能。
想像して欲しい、朝家を出るときにガレージに収まっているクルマがこのどっちかだとしたら。
多分僕ならかなりいい気分で出かけることができると思う。
そしてよほどの不満が出ない限りこれらは(4ATなのはこの際あきらめて)なかなか飽きないと思う。飽きないというものも大事な性能だと思う。
エンジンやパーツの耐久性がいくら高くても視覚的耐久性が低くて飽きてしまうならその耐久性ももてあましてしまう。そういう意味ではもしかしたらデザインというものも立派な性能と思っていいかもしれない。ただしスペックシートに記載できないけど・・・。